現代はVUCAの時代と言われています。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、もともと軍事用語、次いでビジネスの世界で使われるようになり、さらに予測困難な現代社会を表す言葉になってきています。確かに、ここ十数年間に世界や国内で起こったことを見れば、想定外やあるいは想定できたとしてもそれをはるかに凌ぐことがいくつも起こっています。教育研究機関としての大学の役割として、専門分野を追究し新たな知を開拓すること、現代社会が抱える諸問題を解決できる人材を養成すること、を挙げることができますが、このVUCAの時代に柔軟に対応するためには、学問の多様性が重要と考えられます。 埼玉大学理工学研究科は、博士前期課程(修士課程)には5専攻11専門教育プログラム、博士後期課程(博士課程)には1専攻6コースを擁し、真に学術学的な基礎研究から社会実装に至る応用研究までの多様な教育?研究分野をカバーしています。その博士前期課程専門教育プログラムには2022年度に開設された「地球環境における科学技術の応用と融合プログラム(専攻共通融合教育プログラム)」が含まれています。さらに副プログラムとして、実践力を備えた理工系人材の育成や基礎研究の発展に貢献しうる博士人材の育成をめざした三つの特別教育プログラム、「6年一貫型イノベーション人材育成プログラム」、「データサイエンティストとしての素養を備えた理工系人材育成プログラム」、「6年一貫型ハイグレード理数教育プログラム(HISEP-6)」 が設けられており、実務家教員も加わって教育のさらなる質的向上をめざしています。これら副プログラムは学部と博士前期課程を通した6年一貫型となっています。 本学理工学研究科では、本学理学系および工学系専任教員に、理化学研究所、産業技術総合研究所、国立環境研究所、物質?材料研究機構、量子科学技術研究開発機構、国立成育医療研究センター、埼玉県立がんセンター、埼玉県環境科学国際センター、埼玉県産業技術総合センター、自治医科大学大学院医学研究科、立教大学大学院理学研究科からの連携教員が加わり、総勢約250名の教員が教育と研究を行っています。学生はそれぞれの探究心に応じて基礎研究から応用研究まで幅広く学ぶことができる場です。本学理工学研究科において、VUCAの時代を生き抜くための確かな芯となるものを身に付け磨き上げましょう。
  理工学研究科長 石井昭彦
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