埼玉大学研究シーズ集2022-23
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71キーワード非局在電子系、電子材料、遷移金属触媒、多価イオン化合物スズや鉛を骨格に含む世界初の芳香族化合物(置換基を省略)。多価アニオン等価体なので、電池材料になる可能性がある。ベンゼンがもつ芳香族性と、それとはは異なる機構で発現している芳香族性を併せもつ分子。新しい物性科学の鍵となるかもしれない。■?研究概要新しい電子材料となるのは常に新しい構造である。新しい構造を形づくるのは新しい電子系である。特に電子が一か所に留まらずに居場所を変えることが可能な非局在電子系は新しい物性科学の鍵となる。このような観点から、ベンゼンの発見以来200年近くも研究されている、電子がある特別な条件下で非局在化して発現する「芳香族性」に着目し、これまでに炭素と高周期元素のスズまたは鉛の組み合わせでも芳香族性が発現することを世界で初めて明らかにした。また、ベンゼンの芳香族性の発現機構とは異なる機構で生まれる新しい芳香族性も発見した。このような異なる芳香族性を併せもつ分子の創製にも成功した。このような成果は教科書を書き換える基礎学術として意義深いだけでなく、新しい物性科学を生み出す芽となる可能性がある。現在、合成した化合物の単分子電気伝導度を測定し、その物性を探究中である。また、高活性な遷移金属触媒の開発も行っている。■?産業界へのアピールポイント●周期表にあるあらゆる元素を巧みに操り、空気や湿気に不安定な化合物でも合成?単離す●新規物性開拓の観点から手詰まりのある領域に対して、新規物質の設計?合成でブレーク●様々な元素の化合物の取り扱い方等の相談に乗ることができる。る技術をもっている。スルーをもたらすことができる。斎藤?雅一(サイトウ マサイチ) 教授大学院理工学研究科 物質科学部門 物質基礎領域【最近の研究テーマ】●高反応性化学種を用いた小分子(二酸化炭素、一酸化炭素、水素分子など)の活性化●非結合原子間上に電気伝導パスを有する分子の創製元素を操り、電池、触媒、電子材料を開発します!

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