埼玉大学研究シーズ集2022-23
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68キーワード植物細胞壁、木質バイオマス、植物分子生物学、有用形質付加、ゲノム編集シロイヌナズナの茎の断面図。二次細胞壁を赤く染色している。野生型(左)に比べて改変された植物(右)では、二次細胞壁が薄くなっている。■?研究概要全ての植物細胞は、細胞壁を形成する。また、維管束木部を構成する道管要素や繊維細胞など一部の細胞では、通常の細胞壁の内側に、非常に肥厚した二次細胞壁を形成する。樹木の幹の大部分は維管束木部で占められていることから、地上部で最大のバイオマスである、樹木の実体は二次細胞壁であると言える。さらに、二次細胞壁は主に、セルロースやリグニンなどの高分子化合物で構成されており、これらはバイオエタノールやバイオポリマーの材料としても注目されている。このような細胞壁を利用する木質バイオマスは、持続的で再生可能なバイオマスとして期待されている。私たちは、細胞壁形成に関わる遺伝子の同定やその分子機能について研究を行っており、これまでに二次細胞壁全体を制御する鍵遺伝子を同定している。また、これらの遺伝子の働きをコントロールすることで、二次細胞壁の量や質が改変された植物の作出にも取り組んでいる。■?実用化例?応用事例?活用例●二次細胞壁の人為的誘導システムの開発●繊維細胞の二次細胞壁の量的形質を低下させた植物体の開発●ゲノム編集技術を用いた、物理的強度改変植物の作出二次細胞壁形成を促進、および抑制する遺伝子■?産業界へのアピールポイント●細胞壁形成機構に関わる遺伝子を多数同定●バイオマス利活用に有用な植物体作出を行う●特許出願実績あり●様々な植物の生理現象での疑問について、最新の分子生物学の知見を通じて遺伝子レベルで解明することができる山口?雅利(ヤマグチ マサトシ) 准教授大学院理工学研究科 物質科学部門 物質機能領域【最近の研究テーマ】●木質バイオマスの量的形質を改変させた植物の作出●木質バイオマスを制御する転写因子に関する研究●イネの物理的強度を制御する遺伝子の同定●葉の老化の制御機構に関する研究遺伝子レベルで木質バイオマスを改変する

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